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[ネタバレ有]天気の子の感想、キーワード形式で[評価◎]

 ガジェット情報を発信するブログなのに何書いてんだって感じですが、新家誠監督の最新作くらい書かせてください!!(笑)
今回は映画レビューです!!

参考までに、
公開日の朝のスッキリ生放送を見て、本編を1度見た後にパンフレットに目を通した状態でこの記事を書いております。
 
ではどうぞ!!

今作のテーマ性について

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今作のテーマはすでに監督が明言されています。
引用しつつ簡単にまとめると
現実的な世界で、世界情勢や環境問題、日常変化の加速など、そういった狂い始めた世界で、きれいごとのストーリーではなく、少年少女が自分たちの気持ちを前面に押し出して前に進む作品。
※パンフレット記載のテーマ性についてより引用
 
というような感じです。
前作の君の名は。よりも更に青臭い(褒め言葉)感じが溢れていて、若い世代に刺さるのではないかなと感じました。
 

色々なタブーに触れて『いけない事をしている感』から作品の空気を作っている

テーマを盛り上げるにあたって、様々なタブーがエッセンスとしてありました。

キーワードとして挙げると

・家出
・未成年買春未遂
・未成年同士でラブホテル
・拳銃
・浮気、愛人
・その他、多数の犯罪行為
・世界の形を変えてしまうという非現実的なタブー
こういったワードが取り込まれている作品は珍しくありませんが、今作のように大量に扱われているのはなかなか無いのではないでしょうか。
 
テーマ性にある『狂い始めた世界』というイメージは、こういったタブーのキーワードを多数含めることによるアングラ感によって、常に心のどこかがざわざわする感じで伝わってきました。
 
ただし、それは青春時代にあった好奇心混じりのドキドキともとれるわけで、ここは僕がある程度年齢のいった大人だから、常識の観点から考えて見てしまった結果かもしれません。
もしかしたら今の中高生は女子とのラブホシーンに興奮したのかもしれませんね。
 
ちなみにおっさん的には、興奮はしたものの、やはり周りの状況や警察の動向が気になり、目の前のハッピータイムに集中できなかったというのが素直な感想です(笑)
翌日朝の警察のノックも想像がついてしまいましたしね。朝まで待ってくれたのがラブホのおばちゃんの優しさ!
 
それから犯罪行為については君の名は。(変電所爆破等)にもありましたが、今回はそれよりも世間的に悪いイメージの犯罪キーワードが多かったように思えます。
変電所爆破は非現実的なのでアニメの中として見れますけど、未成年売春って言われるとすごい身近な出来事に感じませんか?
東京の闇というか、貧困なら手を出してしまうのかな…という想像ができてしましますよね。
そういう意味でも心がざわざわしたのかもしれません。
 
ただ個人的には、拳銃の引き金を引くシーン2回の内、後半は少しモヤっとしました。拳銃というものは非現実的なんですけど、若者が扱うには少し刺激的すぎた気もします。
 
余談ですが、後半の拳銃シーンで主人公が自己中的に叫ぶわけなんですけど、それが、進撃の巨人でエレンが『全部俺に投資しろ!!』と叫ぶシーンと被って、それに対してエレンの声を当てていた梶裕貴が今作の刑事役で『頼むから打たせないでくれよ…』と冷静に言っているのを聞いて一人でニヤついていました(笑)
 

広角レンズを多様している?カメラマンの視点からみた風景描写

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作品のストーリーとはあまり関係ないかもしれませんが、仕事でカメラマンをやっているからか、どうしても気になったので書かせていただきます。
 
今作からだと思うのですが広角レンズを覗いたような構図にしたシーンが多かったなと感じました。
シーンでいうと
・最初に陽菜が帆高に天候を変える能力を見せるシーンの直前、グルっと屋上を一周回るカメラアングルでかなりの広角だった
・六本木ヒルズの屋上の一番高いところで夕日を前にグッと引くシーン
・凪くんが最後に廃ビルの上に登場してから警官に飛びかかる瞬間のカット
 
他にもあったような気がしますが、忘れてしまいました(笑)
 
これは、アニメ的な引きの構図というよりカメラ的な広角の構図なんですよね
 
どういうことかというと
新海監督が多用してきたアニメの風景の見せ方というのは、手前のものをボカして中間を鮮明に、遠くのものを広大に描き上げることで、遠近感を表現していました。
対して先に挙げたシーンでは、広角レンズでグッと引いて映像をできるだけ画面の中に見せようとしていました。
具体的にいうと、キツい広角というのは画面の四隅がゆがみます
特に屋上のシーンでは四隅を見ていると肉眼では見ることのない違和感を感じると思います。
 
もっと極端に言えば魚眼レンズを想像してください。レンズの力で画面に映ることのない風景を強引に画面に入れるため、丸くゆがみますよね。あのゆがみがそれぞれのシーンで見てとれます。
 
屋上の周りを大きく見せたかったのか、何かしら別の意図があったのかはわかりませんが、こういった広角レンズの表現は新海監督作品の中でも珍しいのではないかなと思いました。
 

音楽が超重要だった!

前作、君の名は。同様、製作段階から1年半かけてRADWINPSが参加し、作品作りに携わっています。

そのため全曲スキのないBGMとなっているのですが、何より気を付けなくてはいけないのが歌詞アリの曲。

新海監督は楽曲の歌詞を聞かせるために元々あったセリフをバッサリ切ったりもしたといいます。

そのため、その部分の穴埋めるかのように歌詞のある曲がシーンのメインに流れ込んでくるんです。

その歌詞自体が、そのシーンの情景や気持ちを歌っているので、歌詞を聞くことで一層盛り上がれる場面が多数存在します。

アニメに集中しすぎてBGMだと思い込まないようにしなければならないですね。

僕は、見終わった後「あそこはどういうことなんだ…?」と考えていたときに、そこで流れていた挿入歌の歌詞を読んでいたら答えにたどり着きました(笑)

むしろ今作は曲がメインなのではないかと思うくらいメッセージ性の強い歌詞だったと思います。

 

露骨だが、ニヤニヤできるポイント多数でエンタメ感満載

この辺りは、前作、君の名は。にもあったテンポの良いシーンでも描かれていましたが、今回は結構過剰なほど入っていましたね(笑)

覚えている限りでも

・船上のビールの値段にビビるシーン

・バイト探しのときにヤ〇ザに怒られるシーン

・各所の建築物や広告等のリアルな再現(高収入の求人広告車など)

・瀧や三葉などの過去作登場キャラがたくさん
・声優の名前そのままのカナちゃんアヤネちゃん(笑)
・カラオケで歌う曲
・ラブホの設備で盛り上がるところ
・実際のイベントとの関連付け
 
などなど、覚えていないだけで他にもいっぱいあったと思います。
こういった部分は新海監督の気づかいももちろん、作品自体にかけられた広告費やコネクションのたまものであるというのが感じられます。
 

四葉どこ?

過去作のキャラが何人か出てきていますが、四葉だけは全くわかりませんでした

エンドロールに声の出演があるので、セリフのあるキャラのはずなんですが…

1回目で分かった人すごいっす!

 

新海誠自身が求めた「批判される作品」、しかし実際は?

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今作は、アニメによくある王道ではなく、あくまでリアルに迫る作品でありました。
世界を犠牲に一人の女の子を救うという選択をする主人公は、他のアニメでもなかなかありません。
仮にこの作品が王道的な進み方をしていたら、きっとこのどちらかだったと思います。
 
・少女を救って世界も元通りにする
・世界を救って、少女を助けに行く
 
しかし新海監督が選んだのはどちらでもなく、ご都合主義を否定してリアルで気持ちにまっすぐな少年少女を描いたのです。
 
それはテーマにもある、混沌とした時代をきれいごとで描き上げてしまわないようにした結果でしょう。
少年少女の選択で世界が狂ってしまった、だけど後悔はしていない。
一見こんな身勝手な選択肢だが、実に純粋で、目の前の女の子を守りたいという真摯な気持ちにリアルさを出すために、このような落ちを付けたのです。
 
 
アニメの常識、テンプレート化されたシナリオが染みついていると「こんなのおかしい!」といってしまいそうになりますが、あえてそこを狙っているわけですね。
 
いやぁ~実に賛否別れそうな部分ですよね(笑)
 
 
 
ですが、新海監督はこういったテーマをぶつけていても批判されない努力をされています
 
その理由はVコンテにあります
 
Vコンテとはビデオコンテのことで、絵コンテの動画版です。
 
いや、それほとんど出来上がってるじゃねーか!
 
というツッコミはごもっともですが、本当にその通りですよね。
新海監督はビデオコンテを製作段階早々に作ることで、より映画の感想的な意見のレスポンスを速めています。
この技術は言の葉の庭から行われていたそうでですが、絵コンテだけでは伝わらない、動画的な間や完成図を想像しやすくすることで、より実際の観客に近い感想を得ながら手直しをしているようです。
そうすることで実際の映画公開後の身もふたもない批判を少なくできるということだそうです。
こういうところに、石橋を叩いて渡る新海監督らしさが出ていますね。
 

『俺たちの新海誠はどこ行ったんだ…』勢は…

残念ながら今回もバッチリエンターテインメント性にあふれておりました!!
 
わかりますよ、どこかで鬱展開を期待している人がいることを…。
 
でもそろそろ秒速5センチメートルやほしのこえを引き合いに出すのはそろそろやめましょう(笑)
 
君の名は。以降、新海監督の作品を取り巻く環境は大きく変わりました。
新海監督が表現したいだけのものを作り出す環境ではありませんし、ご本人もそれを望んでいません。
それは新海監督が過去の作品を『名前をつけて保存』してきたのであって,
昔の作品の良さを忘れてしまったのではないということです
新海監督も人、成長して次につなげています。あの頃の作品はその時に最高のもの、今の作成は今最高のものを作り上げ、常にアップデートしているということでしょうね。
 
 

色々謎が残る

謎が残る部分は結構あるんですよね!

ですが、ここに至っては『わざと語らなかった可能性』もあるのであまり疑問を投げても仕方ない気もします。

とはいえ、気にはなるので思ったことと何となくの想像とそのアンサーを箇条書きでサクッと置いておきますね。

・水の塊のような雨は何?→「バケツをひっくり返したような雨」の比喩を表現している?
→陽菜が天候を変えた歪みが各所でいっぺんに吐き出されている?
・魚とは?
・陽菜の首のチョーカーはなぜ割れた?
 
もし回答をお持ちの方は教えてください(笑)
 

まとめ

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今回は新海誠監督の最新作、天気の子を色んな観点からピックアップして解釈を試みてみました。
ですが、ぶっちゃけまだ自分の中に落とし込めていない感は強いです。
 
前作、君の名は。では、見たときにスッと心に入ってきたような気はしましたが、今作はどうやら作品のテーマと僕の常識感がケンカをしているような気がしています(笑)
もう少し純粋に、若い心で、目の前のことだけを見て走り出す気持ちを持って見ないと、帆高と陽菜に感情移入できないんでしょうね。
 
とはいえ、おっさんである圭介にもそこまで入り込めなかったんですよね…。
やっぱり圭介は駄々草でありつつもけっこう常識人でピュアな心を持っていて。
それが、どこかで自分が常識人になりきれずエンタメ性を追いかけている側だからなのかもしれません。
 
ですので、次回はもっと純粋な気持ちを思い出して、一つ一つのシーンを噛みしめながら鑑賞してみたいと思います。
 
あー、早く行かなければ感覚を忘れてしまいそう(笑)
ではまた!